この記事を読んでいるということは、職場での人間関係に悩んでいるのではないでしょうか?
特にパワハラを受けている、この行為はパワハラなのでは?と悶々としているのだと思います。
何を隠そう、私自身が20年以上勤めている今の職場で、2人の上司からパワハラを受けてきた経験があります。
また職場の同僚が何人もパワハラにあっている現場を、何度となく見てきました。
この記事ではそんな経験のある私がパワハラの定義から事例、パワハラに該当する具体的な言動を紹介していきます。
ぜひとも最後までご覧ください。
パワハラを構成する3つの要素
厚生労働省のホームページでは、パワハラには大きく分けて3つの要素があると明記されています。
- 優越的な関係に基づいて行われること
- 業務の適正な範囲を超えて行われること
- 身体的若しくは精神的な苦痛を与えること
この3つの要素が全て該当すると、パワハラであると定義づけられます。
この3つの項目を見ただけで、自分が受けた苦痛を思い出してしまう人もいるのではないでしょうか?
それでは3つの要素について、それぞれ詳細に説明をしていきます。
要素①:優越的な関係に基づいて行われること
一番よくあるのが、職場の上司からパワハラを受けるというケースです。
上司というのは社会的な立場が上となり、また年齢が部下よりも高いというパターンがほとんどでしょう。
上司とは社内ではあらゆる権限を持っていますが、その中には部下の評価に対しての権限もあります。
そうなるとパワハラを受けている人は、どうしても弱い立場となり何も言い返すことが出来なくなってしまいます。
上司というのはある意味で部下の「弱み」を握っていることになるのです。
また職場の同僚から集団でパワハラされると、立ち向かうことが難しくなってしまいます。
他にも自分の上司から気に入られている部下が、自分の立場を使ってパワハラをしてくるケースもあります。
どれもまさに優越的な立場を利用した、許すことのできない行為と考えるべきでしょう。
要素②:業務の適正な範囲を超えて行われること
職場における業務に対して、関係性や必要性がないと判断される指示などが該当します。
部下がミスをした時に、バツとして2時間以上並ばないと買えないお菓子を買ってくるよう強要するなどが考えられます。
部下のミスが発覚した時に、バツとして2時間以上並ばないと買えないお菓子を買ってくるよう強要するなどが考えられます。
またミスに対して土下座や関係のない同僚の前で謝罪させるのも、仕事における適正な範囲を超えていると言えるでしょう。
部下の私生活に必要以上に踏み込んできたり、過剰な業務指示なども該当します。
上司が部下に車で自宅まで送迎することを何度も強要されたら、プライベートの時間とガソリン代が削られてしまいます。
「今月は厳しいからお金貸してくれる?」なども、仕事とは全く関係のないパワハラ行為と判断できます。
どれもあまりにも一方的で、常識の範囲を大きく逸脱しているところが垣間見れます。
要素③:身体的若しくは精神的な苦痛を与えること
一番分かりやすく、一番やってはいけないことが暴力を振るう行為となります。
特に暴力によってケガをさせてしまったりすると、いわゆる「傷害事件」となってしまいます。
そうなると加害者は最長で23日の逮捕拘留や、15年以下の懲役に50万円以下の罰金などの罪に問われる可能性があります。
大声で何度も暴言を吐いて自尊心を傷つけると、受けた側の精神的苦痛は計り知れないでしょう。
またずっと会話を避けて無視することや、雑用以外の仕事をやらせないことで意欲を奪うこともパワハラに該当します。
その結果としてPTSDのような状態になってしまったら、被害者は退職したり自殺してしまう可能性もあります。
このレベルになると、一生取り返しのつかない出来事となってしまいます。
実際にあったパワハラの事例
いままでは主にパワハラの概要説明がメインでしたが、イメージしにくい要素もあったかもしれません。
ここからはより具体的なパワハラの事例について、細かく紹介していきます。
種類としては5つのパターンに分かれています。
どの事例を見ても、パワハラに該当すると考えられる内容となっています。
ご自身が受けた経験と近い事例があった場合は、今後の対応への参考にしてみてください。
事例①:ミスをすると就業規則を書き写される
社員Aが業務上のミスを犯してしまい、上司Bは罰として社内規定を全て複写するように命令したのです。
上司Bは手を休めれば机を叩き、水を飲みたいと言えば壁を蹴り、トイレに行きたいとお願いすると怒鳴り散らしました。
社員Aはストレスで気分が悪くなり、頭痛と腹痛が出てきましたが、作業が終わるまで帰宅できない状況でした。
帰宅後は頭痛と腹痛が回復しないどころか、一睡も出来ずに次の日は欠勤することになってしまったのです。
家族が病院へ連れて行くと神経性胃腸炎と診断されて、会社を一週間も休む結果となったのです。
また怒鳴ったり壁を蹴る、また机を叩くことは「精神的な攻撃」となって、これもパワハラに該当すると考えられます。
事例②:メールによる個人的な指導
社員Aは営業職で働いていますが、営業成績が伸びずに上司Bに目を付けられていました。
ここ1年間は同じような状況が続いていたため、上司Bはとんでもないメールを部署内の全員に送ります。
「君の仕事っぷりは給料泥棒と言っても過言ではない、今後も会社に在籍し続けるのか検討してください。」
しかも「給料泥棒」の文字はフォントサイズが大きく、朱書きされていて極端に強調されていました。
このメールを見た社員Aは強い辱めを受けたと感じて、精神的な辛さから会社に居られなくなってしまったのです。
「給料泥棒」という表現や、部署内の全員宛てにメールを配信するなどは、パワハラに該当すると判断できます。
またメールだと一方的なやり取りになりかねないのと、文字は直接的に伝わりすぎる傾向があります。
事例③:必要以上に𠮟責し、休職に追い込む
事務で働いていた従業員Aは、日々の売上を取りまとめる業務を担っていました。
1日の売上は17時までにまとめるルールとなっていますが、月末やイレギュラーで間に合わない時も少しありました。
すると上司Bは他の従業員が周りにいるにも関わらず、大声で叱責を繰り返していました。
また従業員Aには関係のない業務まで押し付けて「お前は寝ずに仕事しろ!」と言い放ったのです。
そんな日々が続いた結果、従業員Aはうつ病と診断されて半年間もの間、休職することになったのです。
仕事の仕組みに問題があるにも関わらず、感情的になって配慮のない叱責をしたというのは、パワハラに該当すると判断できます。
他の従業員がいる前で「精神的な攻撃」をされるのは、想像を絶する苦しみであると思われます。
事例④:部下が上司に対してパワハラをする
ベテラン作業員Aは、新任の上司Bよりも仕事への理解や知識が豊富でした。
作業員Aは業務態度や言い方がきつかったりと、能力がある代わりに扱いが難しい部分がありました。
ある日作業員Aは上司Bへ「俺の上司なのにこんなことも知らないの?本当に役に立たないヤツだな」と現場で言い放ちます。
何も言い返せない上司Bの態度に調子づいた作業員Aは、その後も何かにつけて知識を見せつけながら悪態つきました。
上司Bは徐々に自信を無くして、会社に対して異動願いを提出する事態となりました。
過去のキャリアの活用、上司の立場を逆手に取った暴言は「精神的な攻撃」となりパワハラに該当すると判断できます。
部下から上司という稀なケースなだけに、周囲もパワハラだと認識にくく発見しづらい事案です。
事案⑤:深夜にSNSを使って連絡
ある飲み会の席で上司Aは社員BにSNSの交換を要求してきたので、断るのも失礼だと思って言われたとおりにしました。
すると休日にも関わらず、頻繁に連絡がくるようになりました。
はじめは私的な内容でしたが、徐々に来週の業務のことや、新しい資料作成の要求などが来て私生活を圧迫していきました。
ある日の仕事から帰宅後にSNSで仕事の指示があり、見落とした社員Bは次の日に上司Aより執拗な暴言を浴びせられました。
社員Bは仕事のオンとオフが分からなくなってしまい、病院で適応障害と診断される結果となってしまいました。
業務時間外での多数の仕事連絡は「過大な要求」となり、パワハラに該当すると判断できます。
深夜の連絡なども部下への配慮がなく、緊急性などの意味合いを全く理解できていないと言わざるを得ません。
この言葉に要注意!?パワハラと解釈できる言葉や行動
厚生労働省から発信されている方針によると、職場においてパワハラと解釈できる言葉や行動が存在します。
そのタイプというのは全部で6種類あります。
- 身体的な攻撃
- 精神的な攻撃
- 個人の侵害
- 人間関係からの孤立
- 過大評価
- 過小評価
※この内容については、優越的な関係が成立していることが大前提となります
それぞれのタイプの特徴を細かく説明していきますが、この6種類はあくまで代表的なもののみを指し示しています。
パワハラの実態は多様化されていて、状況によっては別の解釈や判断がなされる場合もあります。
疑わしい内容がある場合は、早めに身近な人に相談するようにしましょう。
パワハラと解釈できる言動①:身体的な攻撃
「身体的な攻撃」とは、いわゆる暴力を振るって体に危害を与える行為のことを指します。
具体的には殴ったり、蹴ったり、胸ぐらを掴んで怒鳴るなどが分かりやすい代表的なものとなります。
その他にも空のペットボトルで頭を叩いたり、手で肩を押さえてゆすったりすることも「身体的な攻撃」となります。
「こんな細かいことまで該当するの?」と思うかもしれませんが、パワハラに該当するのでしっかりと認識しておきましょう。
逆にわざとではなく偶然ぶつかってしまった場合や、仕事で直接接点のない従業員同士がケンカした場合は該当しません。
パワハラと解釈できる言動②:精神的な攻撃
「身体的な攻撃」と違って「精神的な攻撃」は心に危害を加える行為のことを指します。
個人の人間性を踏みにじるような暴言は、まさに「精神的な攻撃」の典型的なパターンなのです。
具体的には長時間にわたって高圧的に罵声を浴びせたりすることは、脅迫や侮辱していることになります。
また大勢の前で辱しめるようにすることも、許されないパワハラ行為となるでしょう。
逆に同じ仕事を何度も間違えて反省の姿勢が見られない時は、多少厳しい口調での指たとしてたとしても許容範囲です。
パワハラと解釈できる言動③:個人の侵害
業務以外のプライベートな部分への過剰な干渉を行うことを指します。
具体的には恋人がいるのかなど、あえて話さないような内容をしつこく質問したりすることです。
また休日の過ごし方や、プライベートでどんな交友関係があるかなどを聞くこともパワハラ行為に該当します。
他にも信頼していた上司にだけ打ち明けた個人情報を、本人の了解もなく他人に暴露することもパワハラとなります。
逆に部下が最近元気がなく「元気ないけど私生活で何かあったか?何かあれば自分で良ければ相談してね」などは該当しません。
パワハラと解釈できる言動④:人間関係からの孤立
職場という組織において、独りぼっちにさせる行為を指します。
具体的には集団で無視をしたり、必要な情報を特定の個人にだけ送信しなかったりすることです。
また職場の親睦会に声がかからなかったり「誰にも頼らず自分で考えろ」など、周囲と接触させないなどもパワハラに該当します。
まるで子供のいじめのようなレベルのことが、大人の世界でもあるのですから本当に驚いてしまいます。
しかし合理性があって、一定期間だけ別室にて個別指導を行うなどはパワハラには該当しません。
パワハラと解釈できる言動⑤:過大評価
個人の能力に見合った評価ではなく極端に過大評価して、受け止めきれない業務を押し付ける行為を指します。
このような対応は、相手にものすごいプレッシャーを与えることになりかねない許しがたい行為です。
具体的には誰が見ても終わらないと分かる納期設定で、膨大な業務を無理やり押し付けるようなケースが該当します。
また業務とは直接関係の無いようなプライベートな頼みごとを、強引に持ち掛けてくることもパワハラと考えられます。
逆にマネージャー候補と考えている部下に対して、挑戦の意味で少し難しいレベルの業務を託すことはパワハラに該当しません。
パワハラと解釈できる言動⑥:過小評価
個人のスキルや経験値にふさわしくない、誰にでもできるようなレベルの仕事のみを与える行為を指します。
具体的には在籍10年の中堅社員に対して、トイレ掃除などの雑用のみしかやらせないケースなどが考えられます。
他にはお気に入りの部下には適量の仕事を与えて、嫌いな部下には与える仕事量が少ないこともパワハラに該当します。
逆に健康状態の思わしくない部下に対して、合意の上で簡単な業務を一定期間だけ任せるなどはパワハラに該当しません。
パワハラに関する事例まとめ
パワハラというのは、最悪は自殺にまで追い込んでしまう大きな社会問題です。
自分の身に少しでも不安を感じることがあれば、溜め込まずにまずは身近な信頼できる人に相談しましょう。
また職場の同僚がパワハラを受けているようなシーンを見かけたら、見過ごさないでもらえたらと思います。
この記事の中で紹介されているような行為があれば、それはパワハラであることはほぼ間違いないでしょう。
パワハラを解決することは、本人にとっても会社にとってもプラスになっていきます。
あなたのこれからの生活が、充実したものになっていくことを切に願っています。